大原在宅診療所 ブログ

ドクター登場!桑田克也医師 ヒトの「 健康 」について感じたこと

今春、着任した京都大原記念病院グループ 往診専門診療所 (大原在宅診療所)の常勤医 桑田 克也 医師(外科)のエッセイです。

本年4月より勤務しております、医師の桑田克也と申します。よろしくお願い申し上げます。

京都大原記念病院グループの一員となり「Human health care」という言葉をよく目にします。「人の健康管理」と訳すのでしょうか?私も最近人の「健康」について考えることがありましたので、その話をさせていただきます。

 

私は昨年10月に一人の親友を亡くしました。享年60歳(私と同じです)、病名は食道癌です。

昨年7月頃に「食道癌の術後で、食事が入らないので点滴をしてほしい」と私に連絡があり、点滴に通うようになりました。

一目見て再発しているとわかり、彼もそれを受け入れているようでした。少し元気を取り戻した時期もあり、高校時代の昔話にも花を咲かせ、特にお孫さんの話になると満面の笑みを浮かべていました。よほど可愛かったのでしょう。

 

そんな10月のある日「ホスピスに入る」と彼からメールがありました。彼と会って話のできる最後の機会と思い、翌週には面会に行こうと思いました。実は私の方も、その2日後は長女の結婚式であり、さすがにそれまでは動けませんでした。

ところが娘の結婚式の2日後、彼の奥様から、彼が帰らぬ人となったとの連絡をもらいました。まるで私の慶事が終わるのを待ってくれていたかのようでした。

葬儀に参列しましたが、目の中に入れても痛くなかったであろうお孫さんはまだ生まれて間もない乳飲み子。この子に「オジイチャン」と呼んでもらえるまで生きられなかったこと、さぞかし無念だったでしょう。

 

そして棺の中の彼の顔を見て言葉を失いました。もともと彼は私と違ってスリムなイケメンでしたが、病に冒されて少しやつれ、そして棺の中の彼は更にひどいやつれようでした。最後のメールで彼は「ホスピスで好きな酒を飲みながら安らかに過ごす」と言っていましたが、イヤイヤ違うやろう。やはり最期はさぞかし辛かったやろう。苦しかったやろう。そう思いました。

 

よく「安らかにお亡くなりになりました」という報告をもらいますが、本当でしょうか?

医療スタッフや周りで見ている者の自己満足ではないでしょうか?

やはり病気になると辛い、最期は苦しいと考え、病気にならないように気をつけることが大事です。

「タバコをやめておけばよかった」「酒をもう少し控えておけばよかった」「真面目に健診を受けておけばよかった」などと後悔することがないように、日頃の自身の健康管理のために、大原記念病院グループの一員としてお力になれれば幸いに存じます。

これからも宜しくお願いします。

 

【 京都大原記念病院グループ ドクター登場のバックナンバーはこちら 】

木村 彩香 医師 ( 京都大原記念病院 神経内科 )

髙道 美智子 医師 ( 京都大原記念病院 脳神経外科 )

堀尾 玲子 医師 ( 京都大原記念病院 神経内科)

大道 卓摩 医師( 京都近衛リハビリテーション病院 神経内科 )

 

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