2017/06/25
回復期リハビリテーションにおける看護師の役割とは?
看護
こんにちは!京都大原記念病院です。
看護学生や看護師の皆さんは、障害が残ったために「退院できるのか不安だ・・・」「早く家に帰りたいけど・・・」という患者様に出会ったことがあるのではないでしょうか?
早く在宅復帰させてあげたくても、ADL(日常生活動作)の自立や家族のサポートの心配があり、なかなか退院できず歯がゆい思いをしたことはありませんか?
今回はそんな患者様の希望を叶えるための、回復期リハビリテーションにおける看護師の役割について、ご紹介します。
回復期リハビリテーションとは?
回復期リハビリテーションとは、患者様の容態が危機状態(急性期)から抜け出し、身体機能の回復を図る時期(回復期)に、ADL(日常生活動作)の改善や、失われた機能の再獲得を目指し、チームで関わりながらリハビリをする入院施設です。
言い換えると、「在宅復帰・職場復帰を目指す場所」なのです。
障害のできる限りの改善を図り、退院後の生活を見据えたADL(食事・排泄・着替え・入浴など)の集中的なリハビリに取り組みます。
看護師の他、リハビリ専門医やセラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)、介護職、ソーシャルワーカーなどの多くの専門職種がチームとなって支援し、自立を目指します。
回復期リハビリテーションにおける看護師の役割
回復期リハビリテーションと他の病棟との大きな違いは、リハビリの時間がとても長いということです。セラピストが個別に一日最大3時間のリハビリを行います。
次に看護師の役割について具体的にご紹介します。
・身体状態の管理
バイタルチェックを行い、その日の患者様の状態を把握します。
リハビリが安全に行えるのか判断し、異常があるときは医師やセラピストに相談、患者様のスケジュールを管理調整します。
・リハビリ看護
個別リハビリで獲得した能力を日常生活で使えるようにするため、病棟生活自体もリハビリとなります。
看護師は常に在宅復帰を見据えたケアを行わなければなりません。
寝食分離やトイレでの排泄など、なるべく活動量を増やしたり、自分でできることはやってもらい、できることを増やすために環境整備をします。
・患者様とご家族の精神的サポート
回復期リハビリテーションの患者様とご家族は、入院が長期になるストレス、残った障害と向き合っていかなければならない不安、復職や介護の心配などをたくさんの悩みを抱えています。
看護師はじっくり時間をかけて寄り添い、不安や悩みを軽減し、入院生活をサポートする役割も担っています。
・チーム医療の中心的役割
リハビリを進めていくには、多職種が連携してサポートする「チーム医療」が重要です。
医師・看護師・セラピスト・介護職・ソーシャルワーカーなど多くの専門職が、入院時からチームでサポートします。
その中でも看護師は、患者様と他の職種との橋渡し役として動いていかなければなりません。
回復期リハビリテーションにおける看護師の必要性
回復期リハビリテーションにおける看護師は、常にチーム全体を把握して、連携できるように情報提供したりコミュニケーションを図ったりと、マネジャー的役割を担っています。
また、急性期とは違って、患者様とゆっくりかかわることができます。
在宅復帰に向けて日々のケアの工夫や提案をしたり、退院後の生活を不安なく安全に暮らせるよう、訪問看護につなげたり、ご家族の介護指導をしたりと、看護師の働きがその後の患者様の在宅生活を左右するといっても過言ではありません。
これらのことから、回復期リハビリテーションにおいて看護師がどれほど必要な存在であるかがお分かりになると思います。
回復期リハビリテーションでは、脳こうそくや高次機能障害、整形外科疾患、脊髄損傷など色々な疾患を抱えた患者様にかかわることができます。
また、多くの専門職種と連携してチーム医療を行いますので、看護師としての経験を積み、勉強したい方におすすめです。
一人の患者様とじっくりかかわることができるので、その方の回復していく姿をみられることも、やりがいとなるでしょう。
回復期リハビリテーションに興味のある方は、一度見学に行ってみてはいかがでしょうか?
回復期リハビリテーションにおける看護師の役割とは?」のまとめ
・回復期リハビリテーションとは「在宅復帰・職場復帰を目指して生活行動を獲得していく場所」
・回復期リハビリテーションでは医師・看護師・セラピスト・介護職・ソーシャルワーカーなどの多くの専門職が連携してチーム医療を行う
・看護師の役割は、身体状態の管理・リハビリ看護・患者様とご家族の精神的サポート・チーム医療の一員としての連携である
・看護師はチーム医療のマネジャー的役割を担っている
・回復期では長期入院のため、患者様とご家族とゆっくり・じっくりかかわることができる
・看護師の働きが、その後の患者様の在宅復帰を左右するといっても過言ではない!
・様々な疾患を抱えた患者様をサポートするので、看護師としての経験が積める
この記事を監修した人
- 井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長 - 看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。
※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの