朗らかに、朗らかに
「デイケアに来るのが楽しい」
そう笑顔で話してくれたのは、吉田充様。趣味が多く、民謡教室やカラオケに通い、釣りに盆栽、休みの日には工作や手芸と、色々なものを手作りしている。
実は自宅で使っている歩行器も手作り。現在は大好きな民謡のカセットテープ入れを手直ししている。ご職業は寿司職人というのだから、その手先の器用さは納得だ。
「凝って夢中になるのが楽しい」と、目には少年の輝きがあった。
吉田様は2005年にパーキンソン病を発症。二度の腰椎圧迫骨折を受けて通所リハビリテーション利用に至った。服薬でパーキンソン症状をコントロールしている。
通所リハビリテーション利用中はいつも朗らかな笑顔の彼だが、薬を昼間に効かせ、夜に効かせないよう調整しており、日中は活動性が高いが薬の副作用で身体が揺れ、じっとしていることができない。夜は体が動かない。「夜は地獄や」。トイレまで這うようにして移動している。
パーキンソン病の治療は服薬とリハビリテーションが中心。少しでも進行を遅らせ、身体の筋力、柔軟性維持を目標にエルゴメーターや身体を大きく動かすストレッチを行っている。
「パーキンソン病と診断されて、何も思わないようになるまで5年かかった。頭が真っ白になって、とても人には言えなかった。今も症状は少しずつ進行している」。なぜそれを、笑顔で話すことができるのか。その思いを伺うと、からっと答えた。「歳を経るほどに朗らかになる。だんだん身についた。あんまりくよくよしなくなったな」と。家族と積み重ねる忍耐の日々が、いつの間にか病と共に生きる力になった。
この朗らかな日々を少しでも長く継続し、自分らしい生活を守るために。今日もこつこつとリハビリテーションは続いて行く。
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