輪をつくる
送迎車でお迎えにあがると、あるお宅の前に人の輪ができていた。園部和代様のご自宅だ。ご近所の方々と井戸端会議をされていたとのことで、社交的な園部様の周囲はいつも人が集まり、にぎやかだ。
園部様が通所リハビリテーションを利用するようになったのは、去年の10月。3月に雨の中外出し、タクシーを降りたところで転倒。右肋骨を骨折してしまった。もともと変形性膝関節症があり、医師のすすめもあって、利用を決意。手術はせず、リハビリを続けることで温存する道を選んだ。
「医師やリハビリ職員と相談して、手術は歩けなくなったら考えることにした。もう体のあっちこっちを切っているし、今さらなぁという思いがあった……」
博寿苑で取り組んでいるリハビリは、下肢筋力を鍛えるペダリング、肩周りのストレッチ、体幹を鍛えるバランスクッション。変形性膝関節症による膝のぐらつきをカバーするために、上肢・体幹の柔軟性を維持する必要がある。地味に見えるが、園部様の豊かな生活を継続する為に必要なリハビリだ。
「通所リハビリを始める前は両手で持ち上げていた痛い方の膝が、手で支えなくても自力で上げられるようになった。立ち上がりもすっとはいかなくても『どっこいしょ』と力まなくて良くなった。今日はリハビリ職員が新しいメニューを考えてくれたし、これからももっと頑張りたい。皆、親切にしてくれるので楽しんで通っている」と話された。
以前は手話サークルに参加したり、デイケアで話し相手のボランティアをしていたという園部様。地域にも、利用者様にも顔見知りが多く、「ポツンとしている人には声をかけてあげたい。でしゃばりって思われるかもしれないけど、そこからみんなと会話が繋がっていくこともある」と誰にでも一声かけていく。
園部様のテーブルはいつも話が弾んで笑顔にあふれている。リハビリをしながら慣れ親しんだ地域で暮らし、生活を守る人たちが集まり、そこにコミュニティの輪ができていた。
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