京都大原リクルートブログ

2018/02/07

言語聴覚士とは?仕事内容や役割について

セラピスト

こんにちは!京都大原記念病院です。

理学療法士作業療法士と並ぶリハビリテーションの専門家である「言語聴覚士」。
高齢化が進む現代の日本で、ますます重要になる専門職の一つです。

今回は「言語聴覚士」についてご紹介。
言語聴覚士の仕事内容や役割、どのような場所で求められている仕事なのかをご説明します。

 

 

言語聴覚士は話す・聞く・食べるの専門家

言語聴覚士は、言葉や聞こえ・食べることに障害をもつ方の機能回復や発達の援助を行うリハビリテーションの専門職です。

1997年に制定された言語聴覚士法に基づいて国家資格となりました。

生まれつきの障害や病気、事故・加齢などによって「話す」「聞く」「食べる」ことが不自由になることがあります。
こうした方々の支援をするのが言語聴覚士です。その機能回復を目指すためのリハビリテーションを行います。

言語聴覚士が取り扱う分野

・難聴
・言葉の発達の遅れ
・失語症
・構音障害(発音が正しくできない症状)
・音声障害(その人本来の声でなくなる症状)
・吃音(きつおん 言葉がスムーズに出てこない、どもってしまうなどの症状)
・摂食嚥下障害
・高次脳機能障害(脳の損傷により、記憶力・注意力・問題解決能力などに不自由が生じる症状)

 

 

言語聴覚士の仕事内容や役割

「話す」「聞く」「食べる」ことが正常にできない原因は、生まれつきの障害や病気によるもの、事故の後遺症によるもの、さらには心理的なものまで様々です。

その原因が何なのか、どんなサポートが必要なのかを調べ、リハビリテーションやアドバイスによって必要な支援を行うのが言語聴覚士の仕事です。

 

言語聴覚療法

1)検査・評価

まずは本人の面接や検査、観察から、症状や問題、原因について調べます。
医師による診断情報や既往症、成育歴などからも分析をし、それぞれの患者様に合ったリハビリのプログラムを組みます。

2)リハビリテーション、そのほか支援

機能の回復や代替手段の獲得を目指し、リハビリテーションを進めます。

2−1)障害の状態に合わせた機能回復訓練

発声訓練:発声・発話のために必要な姿勢や呼吸法の指導、口や全身運動の指導や実施など
発話訓練
コミュニケーション訓練:言いたいことを表現する、相手の言うことを理解する訓練
音を聞き取る訓練:聞き取りにくい音を確認して補聴器や人工内耳を調整。聞き取れる音を増やす
高次脳機能訓練:集中力・注意力を強化する訓練、メモを取って確認するという習慣をつけるなど
嚥下(えんげ)訓練:食事の姿勢や食べ方の指導、舌や口の動かし方、飲み込む動きのトレーニングなど

2−2)機能障害に対する代替手段の提案

上手く発音できない場合には50音表・コミュニケーションノート、パソコンやタブレットの使い方を提案・指導したり、記憶障害がある場合はメモやボイスレコーダーを活用したりします。
機能回復訓練と一緒に行うことで相乗効果があります。

 2−3)生活環境の整え方、周囲の人たちへ対応方法のアドバイス

安全に生活・訓練ができるように室内にある刺激物を減らす、流暢に話すことだけがコミュニケーションの全てではないということを理解し、表情やジェスチャーなども積極的に取り入れるようにする。話の先回りをせずに言おうとしていることをゆっくり待つなどを周囲にアドバイスする。
というように、その人その人に応じた対応を考えています。

3)効果の確認

リハビリテーションによって生まれた効果を判断・記録し、その分析をもとに訓練の方向性や方法を修正しながら進めます。

言語聴覚士は高い専門性を持つ専門職ですが、言語聴覚士のみで患者様のサポートが完結することはほとんどありません。

言語聴覚療法を効果的に行うためにも、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など周りの医療関係者との連携を取りながら、チーム医療の一員としてリハビリを進めていくのが言語聴覚士の役割です。

 

 

広がる言語聴覚士の活躍の場

言語聴覚士はサポートする対象者が小児から高齢者までと広いため、様々な場所でその高い専門性が必要とされています。

特に高齢化が進む現代日本では、その役割は医療から福祉の現場へと広がっており、小児に対しても学校や保育所などで言語聴覚療法の提供の充実が求められています。

医療施設

リハビリテーション専門病院
大学病・一般病院
一般診療所

保健機関

保健センター
保健所

教育機関

ことばの教室・きこえの教室
特別支援学級
特別支援学校

福祉施設

療育施設
老人介護施設
発達支援センター
児童相談所

京都大原記念病院グループでも言語聴覚士の求人を行っています。(新卒のみ)
興味のある方はぜひご覧ください。

 

 

まとめ

様々な原因によって起こる「話す」「聞く」「食べる」といった障害に対する支援を行う「言語聴覚士」。
高い専門性と幅広い支援対象に対応するリハビリテーションの専門家です。

医療現場はもとより、高齢化が進む現代日本では福祉分野での活躍が大きく期待されています。

「ことばの教室」「きこえの教室」、特別支援学級など教育現場でも言語聴覚療法の提供の充実を求める声も高まっており、言語聴覚士の活躍の場は今後ますます広がっていくことでしょう。

参考:一般社団法人 日本言語聴覚士協会

 

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