2018/01/23
専門看護師と認定看護師の違いとは?
看護
こんにちは!京都大原記念病院です。
看護師の中でも特定分野の専門家として知られる資格「専門看護師」と「認定看護師」。
どちらも特定分野の深い知識や経験を持つ看護のスペシャリストですが、この二つの資格の違いはご存じでしょうか。
今回はこの「専門看護師」「認定看護師」の違いについてお話します。
どちらの資格を取ろうか迷っている方はぜひ参考にしてくださいね。
「専門看護師」「認定看護師」とはどんな資格だろう?
「専門看護師」も「認定看護師」も特定分野における専門家として公益社団法人日本看護協会に認定された看護資格です。
でもこの二つ、専門分野も担う役割もちょっと違うのです。
専門看護師とは
患者様やそのご家族などに対して質の高いケアを行うために、特定の分野の知識や技術を備えたと認められた看護師です。
専門看護師になると、患者様本人の看護だけではなく患者様のご家族や地域と連携してケアを行ったり、現場の人材育成や調整などの仕事にも加わったりするようになります。
専門看護師についての詳細はこちらの記事でも詳しくご紹介をしていますのでぜひ読んでみてくださいね。
「専門看護師」になるには?条件や資格取得のポイントについて
認定看護師とは
認定看護師も、特定の看護分野において深い知識と熟練した看護技術を持っていると認められた看護師です。
高度な知識と技術で患者様への質の高い看護の提供や、看護実践を通して後輩指導などの役割も期待されています。
「専門看護師」「認定看護師」って何が違うの?
専門看護師と認定看護師のどちらも、専門分野において高い知識と技術を持ち、質の高い看護ケアを行うことができる看護師です。
では具体的にどのような違いがあるのでしょう。
特定分野が違う
専門看護師は13の特定分野、認定看護師は21の特定分野が対象です。(2018年1月現在)
認定看護師の特定分野の方が、内容がより限定的となります。
専門看護師の特定分野
がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護
認定看護師の特定分野
緊急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児緊急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、慢性呼吸器疾患看護、がん放射線療法看護、慢性心不全看護
ケアする対象が違う
認定看護師が患者様に対して看護を行うのに対して、専門看護師は「患者様とそのご家族」に対してトータルでケアを行います。
例えば在宅看護の患者様に対して、看護中のご家族の相談を受けたり地域の訪問看護施設へ働きかけたりしながら、多くの人と連携したサポートを行うことができます。
求められる役割が違う
専門看護師は、認定看護師よりもさらに幅広い役割を担っています。
専門看護師、認定看護師に共通して求められる役割は下記の3つです。
・実践:高い看護技術で質の高い看護ケアを提供する
・指導:看護実践を通して後輩看護師に指導を行う
・相談:看護職に対してコンサルテーションを行う
専門看護師は更に下記の3つの役割も求められます。
・調整:保健医療福祉に関わる人員のコーディネートを行う
・倫理調整:倫理的な問題や葛藤の解決を図る
・研究:専門知識や技術の向上のための研究活動を行う
資格取得難易度が違う
どちらも看護師資格を持っていること、5年以上の実務研修期間(うち3年以上は専門分野での実務)期間があること、所定の教育機関で所定の教育を受ける必要があります。
認定看護師は認定看護師教育機関で6カ月の教育を受け認定試験に合格すること、特定看護師は看護系大学大学院にて2年間で38単位の取得、認定試験に合格することが必要です。
このように、専門看護師の方が資格取得の難易度が高いと言えます。
自分は専門看護師と認定看護師のどちらに向いている?
専門看護師と認定看護師のどちらを目指すかは、将来どのような看護師を目指したいかによって変わります。
専門看護師を目指そう!
現場での看護ケア提供だけではなく、より専門的で影響範囲が広い仕事をしたい人。
周囲の医療関係者も巻き込んで、医療体制を整える活動がしたい人。
より良い看護ケアを実践するために、専門分野の看護研究を深めたい人。
認定看護師を目指そう!
専門性の高い知識を身に付け、医療現場でより質の高い看護ケアを実践したい人。
特定の医療分野に特化したプロフェッショナルになりたい人。
常に現場の最前線に立って患者様と接していたい人。
資格取得のためにかかる時間や難易度も異なりますので、そちらも考慮したうえで決めると良いですね。
まとめ
深い知識と高い技術を持った「専門看護師」と「認定看護師」。
どちらも今後の看護の現場を担っていく責任の大きな役割を持った看護師です。
資格取得までの道のりは大変ですが、これらの資格を取得することで仕事の幅がぐっと広がります。
看護師の今後のキャリアを考える上で、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
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この記事を監修した人
- 井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長 - 看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。
※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの