【おおはらリハビリ日記】周囲の恩返しへ復職期す 脳出血の後遺症で左腕と左足に麻痺
一日も早い回復を願って、毎日一生懸命にリハビリに取り組む
患者さんの日常をご紹介する「おおはらリハビリ日記」のコーナー
▼歩いて投げて左手足鍛え 話すスピード違和感なし
脳出血の後遺症で左腕と左足に麻痺があります。高次脳機能障害の影響で、注意障害や言葉が流暢に出ないなどの言語障害もあります。職場復帰のために左手足の動きの改善と発声の滑らかさを目指して、京都大原記念病院でリハビリに取り組んでいるところです。
担当の療法士も他のスタッフも皆さん一生懸命努めてくれてとても感謝しています。
理学療法の時間は歩き方が中心です。足のストレッチから始めることもあれば、いきなり歩行練習から入ることもあります。私は、バランスをとって歩けるようにと左足に装具を作ってもらっているのですが、将来的には装具なしでも歩けるように、杖を使った歩き方や平行棒、階段での歩行練習を入念に行ってもらいます。
言語聴覚療法の時間には、口と舌の体操から始めます。口の開閉や、唇を突き出したり舌を左右に動かしたりします。発声練習をしてから小説の一節を朗読することもあります。最初はよだれが出るのでタオルをいつも用意して、話すスピードも遅かったのですが、最近は電話をしていても相手が「それほど違和感ないよ」と言ってくれるようになりました。母が差し入れてくれたクロスワードパズルの本を教材として使ったりと、楽しくできるように、いろいろ工夫してもらっています。言語聴覚士に言わせれば「ゴールが復職なので厳し目にしています」とのことです。
作業療法の時間は手の動きが中心です。肩の上げ下げや回転、ひじを支点にしての腕の曲げ伸ばしや手首の前屈と後屈を行います。左腕を空中に固定するのがまだうまくできませんが、それでも始めは軽いものさえ持てなかったり、物をつまむだけで激痛が走ったりしたことを思えば、リハビリの効果には感謝しています。3メートルほどの距離でカゴを目がけてお手玉を投げると、振りかぶった際に肩が痛いことがあります。肩の中の筋肉を鍛えて緊張せずに動かせるようになることと、以前のようにパソコンが使えるようになることを目標にしています。
▼生活動作はあらかたOK 周囲の恩返しへ復職期す
10月31日の夕方、帰宅して書類を書こうとした時、左手の押さえがききませんでした。その夜中に目が覚めてトイレに行こうとしても立てなくなり、翌朝に友人に連絡して救急車を呼んでもらいました。脳出血との診断で、2・3日は集中治療室にいました。その後リハビリを始めましたが左手足は棒のような状態で、マッサージやストレッチ、軽いひざ曲げから始めました。京都大原記念病院に転院したのは11月24日、平行棒の間のつたい歩きが何とかできるようになった頃でした。
12月にはほとんど車いすに乗っていました。歩くのはリハビリ室の平行棒を使っての練習くらいでした。発症時にはタクシーの運転手への転職が決まって車の二種免許を取りに行く矢先でしたが、麻痺が出た以上、運転の仕事はリスクが高く断念しました。
ただ手足が動かず「何もできない」と諦めていたところからリハビリが始まり、荷物を持ったり、物をつまんだり、着替えなどの生活動作もあらかたできるようになりました。退院までには装具や杖に頼らずに歩けるようにしたいと思っています。
一日でも早く元気になって復職を果たすことが、支えてくれた周囲の人への恩返しだと思いますので、そのためにも今はリハビリを精一杯頑張ろうと思っています。
▼リハビリテーションプロフィール
Oさん(40代、京都市伏見区)
以前は数字と言えば、前の会社にいた時の売り上げ目標ぐらいしか興味なかったというが、血圧や血糖値などの変化を気にかけるようになった。リハビリを始めてから規則正しい生活を送っていることもあり、体重は18kg減、血糖値を示すHbA1Cは9を超えていたのが標準の6くらいまで改善した。血圧も発症時200近かったのが正常値の120まで低下した。血圧安定にはトマトジュースがいいと知って毎日飲んでいる。
「周りに迷惑かけているので一日でも早くよくなって仕事をしたい」との思いはずっとあり、仕事で使う資格のテキストを取り寄せて読んでいたりもした。だが1月ごろから考えが変わった。「ここにいる間に使えるものはすべて活用して、手と足を出来るだけ元に戻るようにしようと、リハビリ時間以外も腹筋やストレッチ、寝る前には軽い体操を心がけており、元の体に戻るためのテンションを維持したいという。
高校時代はサッカーをしていた。またボールが蹴れるようになればとの期待もつないでいる。
前回のお話はこちら ⇒https://kyotoohara.or.jp/news/2186
次回は5月1日にご紹介いたします。
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京都大原記念病院グループ 和音編集室
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