志ば漬守り育てる 志ば久次期代表に聞く
夏になると風と共に爽やかな香りを放つ赤紫蘇。大原産のものは、山間の環境で守り続けられるもっとも原品種に近いものです。この赤紫蘇となす、塩が漬け込まれ、京都の三大漬物の一つ「しば漬け」が出来上がります。7月から8月にかけて収穫されると、一年分の漬け込みが、一気に始まります。
三千院の参道沿いにある漬物樽が並んだお店が「志ば久(しばきゅう)」です。1945(昭和20)年の創業から、代々受け継いできた伝統を守り続ける、しば漬けが主力の漬物処です。ここで大原のしば漬けについて話を聞きました。
「農家みたいに感じることもあります」。次期代表で創業から4代目となる久保統さん(41)は言います。大原では、どこのお店も赤紫蘇は自分で栽培します。志ば久でも、5反(1反 = 300坪 = 991.74㎡)ほど育てており「種は外から買ってきたものではなく、畑で育ったものを代々受け継いでいる」といいます。
収穫された赤紫蘇は、従業員や季節限定のアルバイト学生らが、手作業でもいでいきます。一緒に漬け込まれるナスは約15トンとのことですから、使用される赤紫蘇も相当な量です。早いものは漬け込みから2~3週間で「新漬け」として店頭に並びますが、中には約1年間漬け込まれるものもあります。日が浅い間は若干ストレートな酸味を持つものが、時間が経つにつれて徐々に角が取れて行く。人それぞれ好みは違うものの、どちらにも根強いファンがいるそうです。
志ば久では、創業以来「志ば漬」と呼ばれています。おもてなしの心を忘れず多くの方に召し上がっていただきたいという“こころざし”から、そう呼んでいるそうです。志ば漬は、店舗、インターネット、東京や京都の百貨店などで購入できます。今後について聞くと「無理な拡大をせず、大原の地に根を張り、がんばっていきたい」と力強く語ってくださいました。
今回の取材は、京都大原記念病院グループオリジナルの三笠「幸福焼」で、赤紫蘇味を志ば久さんと共同開発したことがきっかけで実現しました。弊グループでは今後とも、地元・大原の魅力を発信していきます。
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