ニュース

おいしく食べて、元気な毎日!-いつまでも健康で過ごすために大切なお食事のお話ー

 

健康な状態と要介護状態の狭間“フレイル(虚弱)” 

身体の虚弱(サルコペニア)予防には食事も大切

 

今回は皆さんがいつまでも健康な毎日を送っていただけるように、大切なお食事についてご紹介したいと思います。

日本は世界的な長寿国となり、平均寿命は年々長くなっています。これはとても素晴らしいことですが「健康な毎日」という意味では、それだけでなく健康寿命もとても大切になります。健康寿命とは元気で自立して過ごせる期間のことです。

両方を比較して見てみると、女性は平均寿命87.14歳に対して、健康寿命は74.79歳。男性は平均寿命80.98歳に対して、健康寿命は72.14歳です。その差は、女性12.35歳、男性8.84歳と、男女ともに約10年の差があります。この期間を少しでも短くすることができればと思います。

人は歳をとるごとに、心身の機能が徐々に低下していきます。やがて、健康な(元気で自立して過ごせる)状態から要介護状態につながります。この狭間の時期のことを「 フレイル 」と呼びます。フレイルとは一言で言えば「虚弱」という意味です。

しかし、早期にこの状態を発見して対策をすることで、生活機能は維持、もしくは向上することができます。この点から、予防意識を高める意味合いで、2014年に日本老年医学会から「フレイル」と呼ぶことが提唱されました。

このこと示したのがこちらの図です。

それぞれの状態には双方向に矢印があるように、早期に状態に気づき、対策をすることができれば改善することができます。改善とは、健康な状態を伸ばす、つまり健康寿命を延ばすことです。

ここで言う虚弱には「身体の虚弱」「こころ・認知の虚弱」「社会性の虚弱」という3つの意味があります。身体の機能が低下すると、食欲が低下し、低栄養や体重減少につながり、更に機能低下することにつながります。そこに、閉じこもりや困窮などの社会的な問題、うつや認知機能低下などのこころの問題も大きく関わってくるからです。

食事が関わる身体の虚弱の一つに「サルコペニア」という状態があります。これは加齢による筋肉・筋力の低下のことです。活動性が低下し、転んで骨折につながったり、飲み込む力(嚥下)の低下につながったりと健康寿命を延ばす妨げになります。要介護や要支援ではない高齢者の有病率は15~20%と言われています。

サルコペニアに当てはまるかどうかを簡単にチェックできる「指輪っかテスト」をご紹介します。両手の親指と人差し指で輪を作り、利き足(ボールを蹴る時に使う足)でない方の足のふくらはぎの一番太い部分を力を入れず軽く囲みます。

皆さんはどうでしたか?

もし隙間ができるようであれば、やせすぎ、つまりサルコペニアである可能性が高いことを意味します。

サルコペニアを防ぐには、生活習慣が鍵となります。「運動」と「バランスの良い食事」が必要で、大切なのは継続して取り組むことです。

ご自身の年齢やご状態を踏まえて、適切にシフトチェンジしながら自分に必要なことを把握してください。

 

バランスの良い食事って結局どうすればいい?

 

ここからは食事の内容について考えてみます。

まず「バランスの良い食事」とは結局どうすればいいのでしょうか?

バランスの良い食事は「体をつくるもとになるもの」「体の調子を整えるもとになるもの」「エネルギーのもとになるもの」の食品を揃えることが必要です。

「バランスの良い食事」は魚、肉、卵、大豆製品、乳製品などはたんぱく質の多い食品で、主に主菜(焼き魚や卵焼きなど)になります。「体の調子を整えるもとになるもの」とは、緑のグループの野菜や、果物は、ビタミンが多く、副菜(お浸しや煮物など)やおかずになります。「エネルギーのもとになるもの」は、エネルギーになり、ご飯、パンなど主食になるものです。

簡単にうどん1品のお昼ごはんより、できるだけ主食、主菜、副菜のそろった定食のスタイルがバランスのいい食事と言えるでしょう。

1日3食のバランスも大切です。特に筋肉を維持するという意味では、なるべく毎食タンパク質のおかずをとるようにしましょう。

とは言え、毎食しっかりと準備することは買い物や調理などの準備、世帯構成の変化なども踏考えると難しいものです。そんな時は毎食ではなく、1日の食事全体や、数日の期間でバランスを取り、品数が少ない時は、市販のお惣菜を追加する等の方法も良いと思います。

 

食事で気になるあれこれ

何を食べるか、どう食べるか

 

ここからはさらに、食事に関して世の中に出回る様々な話から気になるあれこれを一緒に考えてみたいと思います。

 

知っているようで知らない食品表示の意味

「ノンカロリー」「ゼロカロリー」「カロリー控えめ」「低カロリー」などなど、世の中にはたくさんの表現が存在します。これらは、一定の基準をクリアすることで可能となる表示となっています。

カロリーゼロ、ノンカロリーの場合は、表示基準が「100g(ml)あたり、5kcal未満のもの」となります。

低カロリー、カロリー控えめなどの場合は、「100g(ml)あたり、40kcal未満(飲料は20kcal未満)のもの」という基準が存在します。

カロリーが全くないという意味ではありませんので、ぜひ知っておいてください。

 

食べる順番で変わる血糖値

 

食事は「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も大切です。その一つが「食べる順番」です。食事は基本的に「野菜」「主菜」「主食」の順番に食べることが望ましいです。食物繊維が、糖質、脂質などの消化吸収を遅らせ、食後の血糖値上昇を抑えることができます。

 

 

体にいい油ってどうなの?

 

例えば「えごま油」は体にいいという認識が一般的です。魚の摂取量が少なくなり、オメガ3系脂肪酸が摂れるという点では体にいいものです。しかし、油は 高カロリーで1gあたり9kcalとなります。他の脂肪酸とのバランスも必要で、とればとるほど良いというものではなく、小さじ1杯程度になるように注意してください。

 

サプリメントのとり方

 

サプリメントは健康食品として利用されるひとも多くなっているように思います。ビタミン、カルシウム、鉄分などサプリメントでとって悪いものではありませんが、サプリメントで摂ることでの過剰摂取には注意が必要です。できるだけ食事で摂るようにしてください。

 

野菜の栄養吸収のいい食べ方

 

私達は歳をとると、体が老化していきます。老化とは、体が酸化することであり、体の中でつくられる活性酸素により起こります。人間の体ではこの活性酸素の発生や作用をおさえる抗酸化物質もつくられていますが、歳をとるごとに徐々に少なくなります。そのため、普段の食事でも抗酸化物質を摂取することが健康のために大切になります。

そのなかでもよく耳にする「リコピン」「ケルセチン」「アントシアニン」を含む野菜に含まれる栄養素の吸収の効率が高くなる食べ方をご紹介します。

 

リコピンは、トマトなどに含まれる成分です。抗酸化作用はビタミンEの100倍以上とされていて、免疫を高める効果もあります。この成分は油と一緒に食べる、もしくは加熱すると吸収効率は高まります。

次に、ケルセチン玉ねぎなどに含まれる成分です。高い抗酸化作用があり、動脈硬化を予防できる効果もあります。この成分は油と一緒に食べることで吸収効率が高まりますので、ドレッシングを使って食べることも方法の一つです。

 

栄養の吸収効率を高めるという意味でおすすめの食べ方をご紹介します。

玉ねぎの場合は「ラタトゥイユ」がおすすめです。玉ネギ、トマト、ナス、ズッキーニなどをオリーブオイルで炒めて彩り豊かに召し上がっていただくととても効果的です。

トマトの場合は「トマトスクランブルエッグ」です。卵と一緒にトマトも油で炒めて召し上がってください。油と一緒、加熱という方法をクリアできます。

3つ目の成分としてご紹介するのは「アントシアニン」です。赤シソなどに含まれる成分で、抗酸化作用があり、動脈硬化予防できるほか、目の健康を維持するためにも大切な成分です。この成分は水に溶ける水溶性という性質を持っているため「しそジュース」などもおすすめの召し上がり方です。私たちの地元大原は赤しそのふるさとと言われる場所です。さわやかな香りが広がりさっぱりしたジュースにはおいしいだけでなく、アントシアニンがたっぷり溶けています。

 

夏バテを防ぐにはビタミンB1とビタミンC

 

夏バテを防ぐためには日頃からバランスの良い食事を心がけることはもちろん、ビタミンCとビタミンB1をしっかりと摂ることが大切です。ビタミンB1は糖質がエネルギーとなる助けをします。ビタミンC は タンパク質と摂ることで、更に免疫力アップが期待できます。

暑くなるとさっぱり“そうめん”も食べたくなりますよね。そうめんだけでは、糖質に偏りがちです。夏バテを防ぐためには「冷しゃぶ」や「うなぎ」がおすすめです。冷しゃぶの場合、豚肉にビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1は、その他、大豆・ごま・玄米・牛乳・レバーなどにも豊富に含まれています。次にウナギ。土用の丑はとても理に叶った風習であると思います。ウナギには、ビタミンB1やビタミンAが豊富に含まれていますので夏バテ予防にも効果的と言えるからです。

 

いつまでも美味しく楽しく食べて、1日でも長く健康な毎日を

 

これまで5つのテーマで気になる食事のあれこれをご紹介してきました。ここでご紹介するだけでなく、食の情報は世の中にたくさん存在しています。大切なことは、ある食材だけに偏らず、いろいろな食品から、季節のもの、土地のものも楽しんで1日3食バランスの良いお食事をこころがけることです。

フレイル、サルコペニアを予防して、元気な毎日を。

ぜひいつまでも美味しく楽しく食べて、1日でも長く健康な毎日をお過ごしください!

 

【演者】

京都大原記念病院グループ

管理栄養士

井上亜砂子

関連記事

2018年3月05日
【広報誌】和音3月号を発行しました!
2017年9月20日
実演!揚げたて熱々の”天麩羅盛合せ” 9月のお食事会
2016年9月28日
京都府立医大病院 オープンホスピタル2016に、タキイ種苗と共同でブース出展して来ました!