1/1,300の想い

人生に働きかける「問題解決」のリハビリを(作業療法士Y)

人生に働きかけるリハビリ

学校の先生に紹介されて大原を知り、当時のパンフレットにあった「患者さんの達人になる」というスローガンに、患者さんと(退院後の)生活に向けて一緒に走っていくんだ!と魅力に思えて、入職しました。ただ実は、1年留年して入職試験を2回受けています(笑)。2回目に、「また、来たん」と笑い話になったことは、今となっては良い思い出です。

もとは理学療法士を目指していたのですが、大学を受験する時、学校の先生に薦められた「新しいリハビリテーション(大川弥生・2004)」という書籍がきっかけで作業療法士を目指すことにしました。作業療法が、患者さんの戻りたい生活に向けた支援であり患者さんの「人生に対して働きかける仕事」と紹介されていたことが強く印象に残ったんです。

退院後の活躍に向けた
「問題解決」のリハビリ

一般的に作業療法は「生活」のリハビリとされています。しかし「立つ」「歩く」の理学療法、「話す」「飲み込む」の言語聴覚療法に比べると分かりにくいので、私は作業療法を「問題解決」のリハビリと定義しています。
患者さんには退院後に取り戻したい(家庭などでの)役割がありますよね。私も家に帰れば父親や夫としての役割があります。ただ料理一つをとっても、自分が好きなものをつくるのは問題ありませんが、節約しながら栄養満点の料理をつくるとなれば難しい。怒られるので(笑)妻にお願いしています。つまり得意なこと、不得意なことという「課題」が存在するので、妻と「役割分担」という対策をして暮らしているということです。
患者さんは病気やケガによってこうした課題の解決が苦手になっています。作業療法士は患者さんや支援者が「課題」に気付けるか、「解決策」を思いつけるか、「実践」出来るか、との視点を持って支援します。
セラピストは60分間のリハビリ訓練中に、マンツーマンで「家に帰ってからどうしたいか」という価値観を聴き取ることができます。なかでも作業療法士は理学療法士ほどではないけれど身体機能も診ますし、言語聴覚士ほどではないけれど高次脳機能も診ます。理学療法・言語聴覚療法の双方にまたがる視点から患者さんの主訴を紐解き、身体機能、認知機能、家族背景にどのようなバランスで対応すべきかを皆さんに示せる立場にあると思っています。

エネルギッシュなグループの一員である喜び

大原は「連携」が自然と身につく環境だと思います。学生の時は、淡々と作業療法をこなす日々を想像していました。でも実際は医師、看護師、介護職、相談員…、と会話しなければ仕事になりません。自分は他の職種にどんな情報を還元できるのかを考えるようになったし、自然と身に付きました。
今はなくなってしまいましたが、グループの創立記念式典で理事長がグループ事業のビジョンを直接聞かせてくれました。最初は「なんか偉い先生なんだな…」くらいのものでしたが、京都のなかでもエネルギッシュに活動するグループの一員であることを感じられる嬉しい機会でもありました。

なんとかかなえられた患者さんの想い

普段からアユを釣ってさばいて友人にふるまうなど、人をもてなすことが大好きという患者さんを担当した時のことが印象に残っています。この方は病棟ADLで自立となり、家族も協力的で無事に自宅退院が決まったんです。ただ、(病前のようには体が動かず)友人との関わりをあきらめている様子もありました。
私はどうにか人をもてなす瞬間をつくりたいと、一緒に「うどん作り」をしたんです。もちろん他のセラピストに生地をこねるなどを手伝ってもらったり、1日9単位の時間をこの訓練にあててもらうなど協力してもらってのことです。作ったうどんを担当の医師、看護師、セラピストらと一緒に食べると、この患者さんはすごく喜んでくれました。「家に帰ってもやってみようかな」と言ってくれました。その人の「やりたいこと」から良い関わりができたと思える大切なエピソードです。

後輩にも魅力を伝えて行きたい

作業療法士は「(人としての)個性が強みになると思っています。作業療法士の一番のアウトカムは「満足度」です。患者さんの何かをしたいという希望の「形」が達成できなくても、本人や支援者が納得する問題解決手法や選択を促します。その材料は作業療法士としての経験や、人生経験です。だからこそ個性が強みになると思います。
今は副主任として、後輩を指導する立場になりました。昔は先輩からの(業務に関する)フィードバックは「嫌だな…」と思っていました。ただそこから、次に生かせる閃きや気づきもあったと今では思います。限られた時間のなかでどのように伝えていくべきかということに悩みが尽きませんが、自分も魅力を伝え続けていきます。
これまで良い支援ができたと思うこともありましたが、まだまだ「大原でリハビリできたから」というものです。「あなたが関わってくれたから」と満足いただける方を患者さんにも、職員にも増やしていきたいです。自分が発揮できる力を磨いて輝くためのチャレンジをしていきたいと思っています。

【企画・制作】広報コミュニケーション委員会ドキュメンタリーチーム

関連記事

2025年11月27日
訪問看護のこれからを語る。
2021年6月14日
永年勤続!清水紀美子看護職(30周年)、鈴山博司医師(20周年)の想いをインタビューしました!
2025年11月27日
患者さんの想いを叶える看護を「創造」する(看護師F)