「テクノロジー」と「自然環境」の両輪
回復期リハビリテーション病棟が制度化されて20年。リハビリ医療技術の進歩、現場の創意工夫により患者様の「その人らしさ」を支える取り組みも多様化しています。
時代とともに高まる期待
2000(平成12)年に回復期リハビリ病棟が制度化された頃を境に「単純な機能訓練」ではなく「ADL(日常生活動作)改善」に重きを置いた病棟中心のリハビリが実践されるようになりました。年間365日のリハビリ訓練が標準になり、近年は、具体的な成果(アウトカム)が明確に求められ、退院後の「QOL(生活の質)」が重視されるようになりました。急速に進む高齢化とともに、リハビリの「質」に対する期待は高まり、現場では様々な創意工夫がなされています。
最新治療の積極導入と創意工夫
当院でも自然豊かな京都大原の環境を最大限に活かして活動しています。敷地内の農園で2015年頃に始動した「グリーン・ファーム・リハビリテーション」や、2022年3月に始動した「大原庭園リハビリテーション(通称:にわリハ)」が代表的です。屋外訓練は、分かりやすく大原だからできることと捉えています。最近は新型コロナウイルス感染症の蔓延もあり、開放感ある環境の魅力を改めて実感しています。
これ以外にも積極的に最新治療を取り入れてきました。脳卒中後、より効果的にリハビリに取り組めるよう脳のバランスを整える「rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)」。2021年12月には患者様の意思に従って動作をサポートする装着型サイボーグ「HAL※」も導入しました。
※医療用下肢タイプは京都府内で初導入。
テクノロジーと自然環境、両輪を活かす
リハビリの本質は、多職種で患者様やご家族と向き合い、また一緒に退院後の生活がより良いものとなるように努力するチーム医療であるということです。環境を活かした創意工夫や新たな治療法の導入は、患者様だけでなく医療スタッフの意欲にもつながり、可能性を引き出す大きな支えとなります。「テクノロジー」だけでもない。「自然環境」だけでもない。両輪を最大限に活かして、患者様の「あなたらしく」を支えるためにできること全てに取り組んでいきたいと考えています。
<各プログラムの詳細は広報誌orinas vol.5 をチェックしてください!>
- |話|
- 京都大原記念病院 副院長
- 三橋尚志(みつはしたかし)
- 91年、京都大原記念病院。同院長、同介護老人保健施設施設長を経て現職。19年より、回復期リハビリテーション病棟協会会長。
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