往診は介護保険?介護保険が適応になる居宅療養管理指導とは
こんにちは、京都大原記念病院グループ 往診専門診療所(大原在宅診療所)です。
医療サービスや介護サービスを受けたときに、費用の自己負担率が少なくすむ公的医療保険や介護保険制度はとても助かりますね。
医療保険と介護保険では対象のサービスが異なります。
自宅療養中に医師に自宅まで診療に来てもらう「往診」や「訪問診療」は基本的に医療保険が適用されるサービスです。しかし、関係の深い「居宅療養管理指導」は介護保険が適用されます。
そもそも、これらは一体なんなのか?
介護保険と医療保険の違いも交えながらご説明いたします。
【この記事の要点】
1.介護保険は介護サービスに適用され、医療保険は医療サービスに適用される
2.往診や訪問診療は医療サービスであり、医療保険が適用される
3.医療の専門家が自宅に出向き、療養上のアドバイスをする「居宅療養管理指導」という介護サービスも存在する
介護保険と医療保険の違いとは?
介護保険と医療保険はいずれも、助け合い(相互扶助)の考え方で、医療や介護が必要な方の負担を支え合おうと制定された制度です。
みんなで保険料を出し合うことで成り立っており、保険に加入する人が医療や介護サービスを受けた時の支払いに充てられ、自己負担額は一部ですみます。
介護保険は介護サービスを受けた時が対象、医療保険は医療サービスを受けた時が対象です。
※ここでお話する「医療保険」とは国民健康保険などのいわゆる公的医療保険のことです。介護保険についても公的介護保険についてのお話となります。
介護保険とは(公的介護保険)
介護保険は2000年に制定された、まだ比較的新しい制度です。
公的医療保険制度に加入している人が40歳以上になると、自動的に介護保険にも入ることになります。
介護保険加入者は、介護サービスを受けたときの費用の一部を負担してもらうことができます。
ただし、介護保険を利用するためには「介護を要する状態にある」ということを証明する「介護認定」を受ける必要があります。
要介護度に応じて50,030円~360,650円の利用限度額があり、所得に応じてその1~2割が自己負担となります。
限度額を超えた分は全額自己負担です。
医療保険とは(公的医療保険)
医療保険は、病気やけがで通院、入院、手術などをした時の医療費の一部を負担してもらえる制度です。
日本では「国民皆保険」といって、国民全員が健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度など何らかの公的医療保険制度への加入が義務付けられています。
基本の自己負担額は乳幼児が2割、小学生から70歳未満が3割、70歳以上が2割、75歳以上が1割です。
所得や自治体の助成などによっても変わる場合があります。
往診では介護保険と医療保険どちらを使う?
往診とは、通院が困難な患者様の容態が急に悪くなった場合などに、医師が自宅に訪問して診療するものです。これは、医療サービスにあたりますので、医療保険の適応となります。
緊急の対応ではなく、定期的・計画的に医師が訪問して診療にあたる「訪問診療」というものもあります。
訪問診療と往診は厳密には別のサービスではありますが、訪問診療も医療サービスの一つのため、こちらも医療保険が適用されます。
往診と訪問医療の違いについてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
訪問診療と往診の違いはここ!わかりやすく解説
介護保険が適用!居宅療養管理指導とは
往診や訪問診療と近いものの一つに「居宅療養管理指導」というものがあります。
居宅療養管理指導とは、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士といった医療の専門家が定期的に来てくれて、療養上の健康管理や健康維持についての指導や相談をしてくれるというもの。
基本的に診療等の医療サービスを行うものではないことから、介護サービスとして介護保険が適用されます。
歯科衛生士は療養上必要な医療的ケアをすることはありますが、医師や歯科医師はアドバイスのみで実際の治療は行いません。
また、これだけで訪問するケースはほぼなく、往診や訪問診療時など診療と組み合わせて対応するケースがほとんどです。
また薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士については、医師や歯科医師の指示に基づいて指導を行います。
具体的な内容は例えば、
・薬剤師であれば処方された薬の飲み方や管理方法
・管理栄養士であれば症状にあった栄養ケアや調理方法
・歯科衛生士であれば、正しい歯磨きや義歯の手入れ方法の指導や嚥下機能の維持・回復のためのアドバイス
などについての指導が実施されます。
【対象者】
・要介護認定を受けている方
【受けられるサービスの例】
・管理栄養士による栄養バランスの管理指導や食事相談など
・薬剤師による薬の管理方法や服薬時のアドバイスなど
・歯科衛生士による口腔内の状態チェックや歯磨き指導など
【自己負担額】
介護保険限度額基準の対象外となり、所定の利用回数内(※)であれば自己負担率1~2割でサービスを受けることができます。
※月の利用回数は職種により異なります。
まとめ
・医療サービスを受けたときに適用となるのが医療保険、介護サービスを受けたときに適用となるのが介護保険です。それぞれのサービスを受けたときの費用を一部保障してくれる制度で、患者様本人は年齢、所得、要介護度などによって1~3割の自己負担率となります。
・在宅療養中の患者様の容体が急に悪化した時に、医師が臨時的に自宅を訪問して診療・治療を行う「往診」は医療保険の適用となります。医師の訪問が定期的・計画的の場合は「訪問診療」といって「往診」とは別のサービスになりますがこちらも医療保険の適用対象です。
・自宅療養中の患者様の元を医療の専門家が訪れて提供する医療サービス「居宅療養管理指導」というものがあります。これは例えば栄養士や薬剤師、歯科衛生士といった医療の専門家が健康管理や維持のための相談や指導を行ってくれるもので、直接的な医療行為ではないため介護保険の適用となります。介護保険限度額の対象外となりますが、職種ごとに上限利用回数が設けられています。
私たち京都大原記念病院グループ 往診専門診療所(大原在宅診療所)も24時間365日、地域の方々の自宅療養をお手伝いいたします。
計画的にお宅に伺う訪問診療だけでなく、必要に応じて臨時で診察に伺う往診、看取りも含めて対応していますので、気軽にお問い合わせください。
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