在宅療養のメリットとは?推進される理由と求められる必要性
こんにちは、京都大原記念病院グループ 大原在宅診療所(往診専門診療所)です。
皆さんは、在宅療養という言葉を耳にされたことがあるでしょうか?
療養とはつまり治療と養生のことで、病気やけがの手当てをし、からだを休めて健康の回復をはかることです。
在宅療養とはこうした過程を入院などではなく、ご自宅など住み慣れた環境(在宅)で過ごすことを意味します。
近年は在宅療養を望まれる方が増え、国も在宅療養を推進しています。
今回は在宅療養が推進される理由や在宅療養のメリットについてご紹介します。
在宅療養が望まれ、また推進されるのはなぜ?
在宅療養では、自身の住み慣れた環境で心穏やかに療養することができるというのが一番のメリットです。
自宅で家族と一緒に、普段の生活に近い形で暮らしながら療養することで、QOL(クオリティオブライフ:生活の質)が向上、気持ちも安定して、療養や治療にも前向きな気持ちで過ごすことができるのではないでしょうか。
療養生活を送るうえで適切に医療サービスを利用することは必要となります。
ご自身やご家族だけで何とかしようとしても、専門的なケアとなると困難なことは出てくるしょう。
自宅での介護や看護には急変時の対応などの不安も大きいと思います。
近年はそうした方が安心して在宅で療養生活を過ごすことができるよう、様々な在宅医療、介護サービスが整備されてきました。
医師が自宅に来てくれる訪問診療や、訪問看護などのサービスは代表的なものであり、これらサービスを通じて医療機関と連携をとることで、夜間や緊急時でも24時間365日体制のサポートを受けることができます。
訪問医療には往診し病状を確認・必要に応じて投薬を行うだけでなく、医師がかかりつけ医(主治医)として健康管理などのサポートも含まれますので、診療結果や治療内容に限らず、体調や生活に関わることで気になることがあれば相談することができるのは大きな安心材料です。
また、一般的に入院治療を受けるよりも在宅療養を選択した方が医療費の負担も少なく、外来への通院時や検査時の付き添い、入院の面会介護といった家族や介護者の負担も減らすことができます。
訪問医療の特徴やメリットについてはこちらでも詳しくご紹介しています。
在宅療養が推進され始めた理由とは?
在宅療養が推進される理由は「国民の希望」「国民医療費」大きくこれら2つがあげられます。
厚生労働省が発表した資料「在宅医療・介護の推進について」によると、無作為で抽出されアンケートに応じた国民の約60%以上の方が自宅での療養を望んでいます。
これからの日本において年々高齢化が進んでいくのに伴い、老後や晩年をどのように過ごすかということは特に中高年層の大きな関心を集め、歳をとって体が思うように動かなくなったり病気になって治療が必要でも、最期は住み慣れた家で自分らしく暮らしたい、望む方が増えています。
治療や診療の拠点を病院(入院)ではなくできるだけ自宅とすることで、この様な患者様の想いや、最期まで一緒に過ごしたいという家族の想いを実現し、患者様本人のQOLを向上できる仕組みが必要です。
現実的な側面を云えば社会課題である医療費の問題もありますが、大きくはこのような国民の希望に則した仕組みづくりを進めたいということが、在宅療養が推進され始めた一番の理由です。
そのためには家庭や家族、医療機関だけではなく、その他関係機関や自治体が連携を取りながら継続的な医療・介護サービスを提供していくことが必要です。
今後在宅療養は身近なものに
在宅医療を希望する国民の増加に伴い、政府も、患者様が肉体的・精神的に自立し、患者様とその家族のQOLの向上を図りながら自宅療養を行える制度、環境作りを進めています。
具体的な取り組みの中の一つが「地域包括型ケアシステム」の提供です。
「地域包括型ケアシステム」では、医療、介護、要介護の予防、生活支援、バリアフリーの5つの視点から対象者が自分らしく自宅で暮らすためのケアを自治体や関係機関の連携サポートに基づいて包括的かつ適切に提供することを目指しています。
また、自治体が連携のサポート役に回ることで健康保険や介護保険制度によって経済的な負担も抑えながらそのようなサービスを受けることができ、最終的には在宅療養の選択の幅も広がってきています。
まとめ
・自宅で療養を行う在宅療養。在宅療養の大きなメリットは、住み慣れた自宅で家族と一緒の時間を過ごしながら療養を行うことができるということです。医師や看護師が自宅へ訪問してくれる訪問医療を受けながら24時間365日体制での療養が可能です。入院を継続するよりも費用負担も少なくなる場合が多いです。
・高齢化に伴い「人生の晩年を自分らしく過ごしたい」と考え、入院ではなく、住み慣れた自宅での在宅療養を選択される方が増えています。そのように考える患者様の気持ちに寄り添い、患者様や家族のQOL(クオリティオブライフ:生活の質)の向上を支えるためにも、在宅療養が推進されてきています。
・在宅療養を行いながらQOLを向上させ、自分らしく暮らすためには家族や医療機関だけではなく、自治体やその他の関連機関の協力や連携が必要不可欠です。政府は在宅療養や患者様の自立した生活、QOLの向上をサポートするため、医療、介護、予防、生活支援、バリアフリーなどを包括的に提供する「地域包括型ケアシステム」の整備を進めています。健康保険・医療保険制度での経済的支援も含め、在宅療養の選択の幅が広がってきています。
私たち京都大原記念病院グループ 大原在宅診療所(往診専門診療所)は24時間365日、地域の方々の自宅療養をお手伝いいたします。
計画的にお宅に伺う訪問診療だけでなく、必要に応じて臨時で診察に伺う往診、看取りも含めて対応していますので、気軽にお問い合わせください。
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