2017/11/07
看護の現場で「5S」を守る重要性とは
看護
こんにちは!京都大原記念病院です。
みなさんは「5S(ゴエス・ゴーエス)」という言葉を聞いたことがありますか?
元々は製造業で使われている用語ですが、看護用語としても使われています。
5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の5つからきています。
ここでは5Sの意味や、看護の現場での使われ方を見ていきましょう。
看護現場でも使われる「5S」とは
5Sは、職場の環境改善を向上するために用いられており、あらゆる職種で使われています。
組織全体で取り組むことで、業務(作業)効率の向上、ミスや事故の防止に繋がります。
5Sの要素それぞれの意味を見ていきましょう。
整理
必要なものと不要なものを分けて、不要なものは捨てる
整頓
必要なものがすぐに取り出せるよう場所や置き方を決め、表示を分かりやすくする。
清掃
掃除をしてきれいな状態にすると同時に、物品の点検も行う。
清潔
整理・整頓・清掃を徹底し、きれいな状態を維持する。
躾(しつけ)
整理・整頓・清掃・清潔のために決められたことを、決められた通りに実行できるよう習慣づける。
日本の製造業で使われ始めた5Sは、医療業界など「複数のスタッフが同じもしくは連携した作業を担当し、チームで業務を行う」業界全体に広まりました。
今では日本企業の海外工場でも浸透しつつあり、様々な業界の生産性の向上やミスの防止に役立っています。
看護に関わる「5S」を守ることで事故を防げる
医療現場はもちろんのこと、小さなミスが大きな事故につながる業務においては、複数の人が作業を行うための細かなルール徹底が大切になります。
たとえば、患者によって薬や使用する用具は違います。
薬の誤投与はもちろん、忙しく十分な引継ぎができない場合における連絡ミスは「特定の器具がいつもある場所になかった」「必要なメモが他の書類に紛れていた」などの「整理」「整頓」「清掃」で防げる可能性が高いのが特徴です。
この状態を無視してしまうと、いずれ命に関わる医療事故になりかねません。
ミスや事故を未然に防ぐためにも5Sを導入し、そのルールを守ることはとても大事になってきます。
「5S」を習慣化することの難しさと看護現場での重要性
看護の現場では多くの場合、交代制・チーム制を取っています。
そのため、複数のスタッフが「いつ見ても同じところに同じ物がある」という職場環境を維持することは、基本的ではありながらとても重要なポイントです。
整理整頓ができていなければ、急に容体が変化したときに周囲のスタッフがフォローに入ることも難しくなります。
清掃を徹底し、日々清潔に保つことで防げる感染症などもあります。
スタッフそれぞれの性格や仕事の進捗度合いにも差があり、一律で5Sを徹底することは難しいケースもあります。
そのためには、5Sの中の「躾(しつけ)」が重要になります。
(といっても子どもに行うマナーのしつけではなく、「仕事のルールの徹底」を指します)
職場内で物をどこにどう片づける、どこに何があるかを分かりやすく表示する、特定の時間になったら手が空いている人全員で整頓を確認するなど、明確なルールを作成し、そのルールを守り続けることで習慣化されます。
この時、先輩やリーダーからの押し付けだけではなく、スタッフ全員で適宜内容を見直し、当事者意識をもって5Sに取り込むことが大切です。
看護の現場で5Sによって職場の環境改善がうまくいけば、薬や用具の間違い、連絡ミスなどがなくなっていき、医療事故防止にも繋がるのです。
まとめ
・5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」)は、職場環境の改善に効果的。
・5Sを徹底すると作業効率がよくなり、事故やミスを防ぐことができる。
・ルールは押し付けではなく、全体で当事者意識をもって徹底・適宜見直しすることが必要
5Sはあらゆる職種または家庭でも実践できますので、みなさんも一度取り組まれてみてはいかがでしょうか。
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この記事を監修した人
- 井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長 - 看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。
※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの