2018/01/09
看護師の働き方を考える。ライフワークバランスに合わせて探そう
看護
こんにちは!京都大原記念病院です。
今回は「看護師の働き方」についてのお話です。
近年、結婚・出産・育児・親の介護など、様々なライフステージの変化により看護師としての仕事を休職または、退職される方が増えてきました。
復職に向けてご自身がどのようなライフスタイルやライフワークバランスを選択するか、「看護師の様々な働き方」に注目して見ていきましょう。
看護師の働き方について考える
2014年の厚生労働省の推計によると、正看護師・准看護師のいずれかの資格を持ちながら看護関連の仕事についていない「潜在看護師」は約71万人いるといわれています。
団塊の世代が高齢者となる2025年頃をピークに、看護師の数が不足すると予測されています。
看護師という仕事は夜勤や残業などがあり、ライフスタイルの変化があれば以前のように働けないのでは……と、色々不安や悩みが出てくるのが本音です。
正社員して働きたい、子供との時間を大切にしたい、親の介護や家庭の都合と仕事を両立したいなど復職を目指す看護師さんの勤務希望は人それぞれにあり、看護師の確保はどの医療機関でも重要な課題となっています。
正社員の特徴とメリット・デメリット
正社員の看護師は、病院やクリニックなどを中心にフルタイムで働きます。
特に病棟勤務の場合は2交代~3交代のシフト勤務が一般的で、夜勤や残業もありますが、その分夜勤手当や残業手当が付き総収入も増えます。
比較的安定した日勤のお仕事を選択したい場合は、医療関連企業や研究機関で「産業看護師」として勤務するという選択肢もあります。
産業看護師の仕事は、採血や診察・検査補助といった比較的緩やかな医療行為が中心となり、さらにデスクワークも多いため「臨床の技術が下がりやすい」とも言われることがあります。
しかし、ご自身の努力次第で一般の医療機関に戻り、バリバリ働くことも可能です。
主な就業先
・病院やクリニックなどの医療機関
・医療関連企業や研究機関、大手企業の医務室(産業看護師)
・治験関連医療機関(治験コーディネーターなどとして。治験コーディネーターは看護師や保健師の資格が必要な職業です)
・介護施設(常勤)
メリット
・雇用期間の定めがなく、社会保険の加入や福利厚生が受けられ、給与も安定しています。
・責任のある仕事を任され、研修や勉強会もあるのでキャリアアップを目指せる。
・病院によっては「日勤のみ」の勤務も可能。
デメリット
・病棟がある病院では夜勤があり、残業することも多い。
・交代勤務の場合は、生活が不規則になりやすい。
向いている人
・安定した収入を得たい方
・キャリアアップを目指す方や管理職に就きたい方
・子育てや介護などがひと段落し、安定した就業を希望する方
非常勤(パート)の特徴とメリット・デメリット
非常勤(パート)の場合、日勤の正社員と同じ内容の仕事を短時間だけ行うことが多いです。
残業も正社員よりは少ない、または残業自体ない就業先もあります。
大きな病院ではなくクリニックなどを選択した場合、勤務時間や勤務日を自分で決められる就業先も多く「この時間だけ・この曜日だけ働きたい」など、比較的自分の希望に合わせて働きやすい傾向にあります。
「まだ子供が小さいから夜勤は無理かも」「扶養内で働きたい」などを考えている方や、夜勤などがある正社員への復職を目指しているもののブランクが気になる方は、パートから始めてみるのもいいかもしれません。
主な就業先
・病院やクリニックなどの医療機関
・医療関連企業や研究機関、大手企業の医務室(産業看護師)
・治験関連医療機関
・保育所や幼稚園などの医務室
・介護施設の保健指導担当
メリット
・子どものことやご自身の希望に合わせて勤務できる。
・日勤のみや夜勤のみなど、ライフスタイルに合わせた勤務も希望できる。
デメリット
・正社員ではないので、いつ仕事がなくなるかわからない。
・給与は勤務日数や勤務時間で変わるので、毎月の給与が安定しない。
・ボーナス等の福利厚生を受けられない場合が多い。またや有給休暇などは正社員と比較して日数が少ないなど、就業条件に差がある。
向いている方
・扶養内で働きたい方
・小さいお子さんがいる方や親の介護など「ご家族の都合上長時間働けない方」・ブランクがあるので短時間労働から始めたい方
派遣登録の特徴やメリット・デメリット
看護師の派遣は「原則禁止」とされています。
しかし、例外的に以下の3つのケースは派遣を認められています。
・紹介予定派遣…自分が将来働きたい病院などへ、正職員になるのを前提として派遣されます。実際に勤務してみて職場(病院)が自分に合うのかもわかりますし、病院側も戦力になる人材なのか、などお互いにメリットがあります。
もし就業先が自分に合わないと思えば、更新しなくても大丈夫です。
・代替業務…産前産後休業・育児休業・介護休業中などで不足する人手を補うための派遣です。
・病院、診療所以外の施設への派遣…医療行為を伴わない施設(有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、デイサービス)等への派遣は、法律で認められています。
派遣社員の特徴として、病院などに直接雇用されるのではなく、人材派遣会社などに登録・雇用関係を結び派遣会社のスタッフとして病院に派遣されます。
給与や社会保険などは、派遣会社から受けます。
残業や給与面で最初の契約と違っている場合などは、派遣会社が病院と交渉を行ってくれます。
主な就業先
・病院やクリニックなどの医療機関
・有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスなどの介護施設
・障害者支援施設、保育所など教育・福祉関連施設
メリット
・勤務地や診療科目、勤務期間や勤務時間の条件に合う求人を選ぶことができる。
・契約期間があるため、契約更新時に就業先での勤務が難しくなった場合は、更新せず契約満了することも可能。
デメリット
・最初に条件提示があった場合を除き、責任者としての役割を担うことが難しい。
・最初の数か月は試用期間扱いになるため、有給休暇などがつかないこともある。
・時給制での雇用が多く、非常勤同様ボーナスが出ない。
・就業先が看護師不足という場合は、休みが取りにくい。
向いている人
・ご家族の転勤がある方
・プライベートを重視される方
・復職できるか不安があり、まずは期間限定で復帰してみたい方
単発/短期の特徴やメリット・デメリット
単発や短期の仕事は、看護師として働きながら空いた時間にお仕事をしたい方や、看護師の資格を持っていながら他の職業に就いている方で、看護師として単発のお仕事をされたい方などが働く「ダブルワーク」や、「1日限定」の仕事をいいます。
ダブルワークなど副業を禁止している職場もあると思いますので、現在お仕事をされている方は職場の規定をご確認ください。
主な就業先
・献血ルームや献血車
・イベントナース(スポーツ大会やコンサートなどのイベント時に救護室で働く)
・ツアーナース(修学旅行などの旅行に同行)
・訪問看護
・医療機関での夜勤・休日サポート
メリット
・空いている日や空いた時間にお仕事できます。
・求人にもよりますが、介護施設やイベントなどでの1日だけのお仕事もあります。
デメリット
・副業が禁止されている職場の方は、単発や短期の仕事はできません。
・求人が定期的に出るとは限らず、収入が安定しない可能性もあります。
向いている人
・空いた時間に看護師のお仕事をしたい方
・現在看護師を休職中、または離職された方で、復職をお考えの方
まとめ
看護師は、病院以外にも介護施設や企業、血液センターといった医療機関などで幅広く活躍できます。
また、時間も残業や休日出勤の有無も、自分が希望する働き方やどこに就業するか次第で広く選択することが可能です。
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この記事を監修した人
- 井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長 - 看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。
※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの