京都大原リクルートブログ

2017/02/20

老人ホームでの看護師の仕事内容ってどんなこと?

看護

こんにちは!京都大原記念病院グループです。
高齢化社会が進む現代、看護師の資格をいかせる職場は病院だけではありません。
「高齢になっても安心して暮らしたい」そんな想いに応えるための老人ホームや福祉施設が日本国内に増えています。
老人ホームで働くスタッフには介護職や生活相談員など様々な職種がありますが、そんな中で、入居者の健康を守る看護師は欠かせない存在なんです。

今回は、「老人ホームでの看護師の仕事」について紹介します。

老人ホームで働く看護師の役割とは?

一般的な介護付き有料老人ホームの場合、看護師は病院と違って少ない人数での勤務となります。
日常の介護や生活サポートは介護職員が行いますので、ここでの看護師の役割は、
・入居者の健康チェックと日常で必要な医療行為
・入居者の体調に異変があった場合の応急処置
・病院に行くか救急車を呼ぶか等の判断、付き添い

夜勤の看護師がいない場合は以下の役割も担います。
・看護師不在の夜間、介護職員への緊急時対応の指示出し
・介護職員が吸引等の医療行為を行わなくてはならない場合の指導
(介護職が吸引等の医療行為を行う場合は、特別な資格が必要です)
※当グループの特別養護老人ホームでは、併設の病院に所属している看護師が処置・対応いたします。

医師との連携が取れている施設では看護師一人の判断に任せられることは少ないかもしれませんが、看護師の支持のもと行動する場面も多いため、責任を持った適切な対応(判断・指示出し)が重要です。
そのため、新卒看護師の採用もありますが、ある程度、業務経験のある看護師の採用が多い傾向かもしれません。

老人ホームで働く看護師の仕事内容は?

老人ホームで働く看護師の具体的な仕事内容はどのような感じでしょう?
どんな一日を送っているのか、一日の流れを見ていきましょう。

■出勤、朝礼

朝礼では介護職員と一緒に夜勤スタッフからの申し送りを受けます。
夜間の様子や、いつもと違う様子など細かく情報共有をし、気になる方がいれば、自分でもその方の体調チェックをして、必要に応じて医師に相談します。
今日の自分の業務を把握したり、必要に応じて他のスタッフとの協力や指示出しをしておきます。

■バイタルチェック、必要に応じて処置

入居者の方へ朝の声掛けと共にバイタルチェックを行います。
「普段と少しおかしい」という個所を看護師の視点で早期発見し、早期治療に繋げるかどうかは大事なポイント。
朝食の様子など気にかけながら、その方の健康状態を管理。これまでの様子を把握しながら、症状の経過観察も行います。
入浴スケジュールが入っている日は、入浴をして問題ないかを入浴前にチェックします。
入浴介助は介護職員が行いますが、皮膚にかぶれがあるなど何か異変が見られた時には、入浴担当のスタッフから報告を受けて処置をしていきます。
普段から介護職員との連携も大切です。

■食事見守り

食事中は、嚥下状態や食の進み具合などを気にかけたり、お手伝いが必要な方へのサポートをしたりなど行います。
入居者の変化に合わせて、食べ物を柔らかくしたり刻み食にしたりの判断なども、入居者の健康を維持するうえで重要です。

■配薬、薬セット

老人ホームでの看護師の仕事で大切なのが薬の管理です。
一人ひとり、いろいろな病気・いろいろな症状の方がいます。
何種類もの薬を飲まれる方もいますので、忘れずに間違えずに服薬していただくよう管理しなくてはなりません。
空いた時間を使って薬のセットを行い、食前食後など用法に沿って正しく服薬できるように責任を持って管理します。
症状に変化が見られた方への現在の薬を継続するか、もしくは薬を変えるかなど、毎日、間近で入居者と接している看護師が医師へ相談していく場面も出てくるでしょう。

■口腔ケア

肺炎等の呼吸器合併症を避けるために、毎食後の口腔ケアはとても重要です。介護職員に対しても指導をし、常に口腔の清潔を保つことが大切です。

■レクリエーション補助

毎日行われるわけではないかもしれませんが、大勢の方が入居する老人ホームでは、季節に合わせたイベントや、身体を動かすゲーム、頭を使うクイズなどのレクリエーションが企画されることがよくあります。
脳の活性化やコミュニケーション効果が期待されると、介護職員が中心となって行うことが主ですが、看護師の専門性をいかした体操などを行うこともいいでしょう。
入居者のADLを確認できる機会でもあるので、介護職員だけに任せるのではなく、出来るだけ一緒に参加するのが望ましいです。

■ミーティング

業務の申し送りや、入居者の情報などを共有します。
ちょっとしたことでも体調を崩しやすく、些細なことでも見逃すと取り返しのつかない事態に繋がる高齢者。
気になる症状の方がいたら、自分一人で抱え込まず、他のスタッフにも情報を共有して、スタッフ全員がチームという意識のもと見守る必要があります。
そのためにミーティングやカンファレンスなどで、スタッフ同士のコミュニケーションを密にしておくことも業務として大切なことです。

■ケア記録の記入

業務の合間や、一日の終わりに看護記録の記入を行います。
介助や処置をしていて気付いたことや、何か変化があった場合は記録に書き残します。
急変時など、その記録をもとに医師に症状を伝えることもできますし、出勤していないスタッフへの情報共有にもできます。
多くのスタッフが働き、勤務時間帯も日勤・夜勤とバラバラ。そのような職場において、情報共有ができているかどうかはとても重要なことです。

老人ホームで必要とされる看護師のスキルとは?

老人ホームの仕事は、病院のように高度な医療行為を行うことはなく、看護師としての仕事の量はそれほど多くないと言えます。
場合によっては介護職員と同じ立場で仕事をすることもあるでしょう。
しかし、老人ホームで働く看護師は病院勤務の場合とは違う、大きく分けて次の2つのスキルが必要になってきます。

・介護職員や他職種との連携

介護職員が主となる老人ホームでは、介護職員と連携しなくては日々の業務が成り立ちません。
とは言え、医療知識においては看護師の方が知識も経験も豊富です。
医師のいない職場において医療面での責任者は“看護師である自分”という意識をもちつつ、看護師だけでは担えない部分で介護職員など他のスタッフとの連携は必須となります。
チームとして仕事をする能力や、医療的なケアが必要になった場合に、介護職員に観察すべきポイントやケアの方法をわかりやすく指導する能力が必要となります。

・高齢者とのコミュニケーションスキル

これは老人ホームで働くうえでもっとも必要な資質といえるでしょう。
看護師であるあなたが相手をするのは高齢者です。
認知症の方もいれば、終末期ケアが必要な方もいます。

忘れてはいけないのは、老人ホームは病院ではないということ。
老人ホームにいるのは治療をするためにいる患者ではなく、生活している入居者様です。
入居者が安らぎのある毎日を送れるよう、高齢期の暮らしをサポートするという意識を持つことが大切です。
高齢者が相談しやすい雰囲気、話しかけやすい雰囲気を作るなどコミュニケーションスキルが求められます。

「老人ホームでの看護師のお仕事」まとめ

看護師のあなたがそこにいることで、入居者や一緒に働くスタッフも安心します。何かあったら相談できる、頼れる存在として、あなたの経験と能力が活かされる職場といえるのではないでしょうか。
病院と違って、入居者とゆっくり向き合えるのも老人ホームで働く魅力でしょう。
今後も需要の伸びる老人ホームでの看護師のお仕事。あなたの経験と能力を活かしてみませんか?

・老人ホームでの看護師の仕事は主に、入居者の健康チェックと医療行為。
・職場内に看護師は少ないため、責任感と判断力が求められる。
・介護職員など異なる職種とのチームワークで成り立つ職場。
・高齢者とのコミュニケーション能力は必須スキル。
・看護師の資格を活かして高齢者の「安心と安らぎの生活空間」を提供する魅力のあるお仕事。

 

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この記事を監修した人

井川 玲子

井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長
看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。

※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの

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