災害発生時の感染対策を考える職員研修会を開催|2024年1月能登半島地震の経験に学ぶ
11月21日(金)感染対策委員会が主催し、「災害発生時の感染対策」をテーマに職員勉強会を開催しました。今回は金沢医科大学の医療安全部 感染制御室の野田 洋子 先生(感染管理認定看護師)をお招きし、2024年1月 能登半島地震で経験した感染対策現場の模様を中心に語っていただきました。

能登半島地震が起こったのは2024年1月1日16時10分。野田氏もショッピングモールで食事中に被災したと言います。病院に駆けつけ、災害対策本部が立ち上がると感染制御の陣頭指揮を任されました。翌日からは受け入れも開始。時期柄、里帰りする職員も多く、道路が寸断されてメディカルスタッフが集まることもままなりません。平時の被災を想定していたBCP(事業継続計画)は、「手薄な体制での災害医療・感染対策で効果を発揮することはできなかった。」と語ります。
集まったスタッフは、自らの担当領域に拠らず医療を止めないためにできる全てに取り組むことになりました。患者様、メディカルスタッフに感染症のクラスターが起こってしまえば、たちまち医療は機能停止してしまいます。災害時は救命に意識が偏り、「こんな時に感染対策?」という視線を浴びることもあるそうですが、「災害時だからこそ」、まずは感染対策が重要になるのです。ライフラインが寸断された地域の人々にとって明かりが灯り続ける病院は心のより所。その不安を受け入れ続けるための教訓として、感染対策も含めて最低24時間は何があっても自立して運営できる備えの重要性を痛感したそうです。
災害対策本部からは15分に1度、職員にコミュニケーションツールを用いて定期的に発信。顔を合わせる師長会では繰り返し「クラスターは起こさない!」という声もかけあいました。徹底したのは特別なことではなく、手指消毒、咳エチケットの標準予防策とエアロゾル対策です。結果的に震災発生後2024年4月までの間にクラスターは一度も発生しなかったことは、職員にとって「成功体験」になったと振り返りました。

各地で講演すると「感染対策に効果的な対策は何か?」という質問をよく受けるそうです。しかし、答えはいつも「NO(一つだけの絶対的な方法はない)」。
野田氏は経験を振り返りながら、「地形も文化も異なる能登での取り組みが、そのまま大原に当てはまるとは考えていません。」とし、また本質として「まずは全てのメディカルスタッフが “自分ごと意識” を持ち、一つひとつの取り組みを重ねてこそ感染対策の効果が発揮されるはず」と指摘。日ごろから「標準予防策の遵守レベル(感度)を高め、保つことが大切」であるとし、災害をなくすことはできないが、「減災」のためにできることを考え、一丸となって、新興感染症や災害時の感染対策に強い施設づくりを目指してほしいと、今後に向けた期待のメッセージをいただきました。
講演の終盤、野田氏が避難所などの支援中に見かけた「JRAT(日本災害リハビリテーション支援協会)」の支援活動※に触れ、「避難所でのリハビリスタッフさんが丁寧に声をかけて回っておられて、どれだけ支えになったかわからない。本当に心から感謝したい」と触れました。
※ JRATの支援活動には京都大原記念病院の理学療法士ら2名も参加しました。
今回の学びを日頃の感染対策に活かすとともに、有事の際も落ち着いて患者様、職員が安心して活動できる「備え」に活かして参ります。

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