京都大原リクルートブログ

2017/04/05

看護師のセカンドキャリアが今、求められてます。

看護

「セカンドキャリア」という言葉を聞いたことがありますか?
プロとして第一線で活躍していた方が引退した後のキャリアを指して使われる言葉です。
定年や出産・育児で仕事を離れた人が再び仕事に就く際のキャリアを指して使われることも増えてきました。

今回は、看護師のセカンドキャリアについてのお話です。

 

セカンドキャリアとは「第二の人生における仕事」

セカンドキャリアとは、「第二の人生における仕事」と言われています。
キャリアアップを目指したり、結婚や出産を機に働き方を見直したり、子育てがひと段落して職場復帰を考えてみたり、定年後も再就職を希望したり…。

生きていくうえで、ライフステージに合わせて「仕事」について考えることがあり、仕事の選択肢はさまざまですが、多くの方はそれまでの経験を活かして働きたいと思うのではないでしょうか?

ご自身がそれまで培ってきた経験を活かせる仕事がセカンドキャリアです。

 

セカンドキャリアの看護師に求められるスキルや役割

看護師のセカンドキャリアには、そのまま看護師として働く方もいらっしゃいますが、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、訪問看護、ケアハウス、グループホームなど、選択肢を広げて活躍されている方も多くみられます。

セカンドキャリアには、どのようなスキルや役割が求められているのでしょうか?

メンターとしての役割

メンターとは仕事のスキルだけではなく、周囲の仲間たちの精神的な部分でも支えとなってくれる指導者のこと。
特に、仕事を始めたばかりの新人看護師は毎日が緊張の連続で、些細なことにも迷いやすいもの。
仕事に慣れてきた世代であっても、結婚や出産などのライフイベントが重なれば、いろいろ考えてしまいますよね。
そのような時に、よき理解者であり相談相手として成長を支えてくれるような、そんなメンターとしての役割が求められます。

役職者とスタッフのパイプ役

病院や介護施設も経営が成り立たなければ運営できません。
そのため、経営者には経営者なりの考えがあり、計画を立てて人員配置や方針を決定し、運営しています。
経営方針を理解し、現場の管理を行っている師長とスタッフにずれが生じることも多々あります。
その時に、師長や経営者との間でパイプ役を務めてくれることが期待されます。

現場で働くスタッフが抱える悩みや不満を吸い上げ役職者へ意見を伝える、師長の考えを理解し現場を動かすための手助けをするなど、臨機応変に立ち振る舞ってくれるような役割も求められるでしょう。

経験者として更に向上できる看護スキル

長く勤めれば務めるほど、環境に慣れてしまいスキルの向上や新しいことへのチャレンジができなくなることがあります。
しかし、医療や介護業界は常によい看護や介護を提供できるよう、新しい器具やルールを生みだしています。
セカンドキャリアは、そのような時代の波に乗り、自分を向上させていくことのできるスキルが求められます。
「昔はこうだったから」ではなく、昔を知りながら知識やスキルを更新していく姿勢が、経験の浅い看護師たちの手本となることを期待されています。

とはいえ、看護師として働きだして3年経てば中堅といわれる職場もあれば、40代でこそ中堅と考えられる職場もあります。
組織の状況によって求められるスキルや役割は異なることも事実です。

 

セカンドキャリアをスタートするためには?

それでは、セカンドキャリアをスタートさせるにはどうすればよいでしょうか?
具体例を挙げながらご紹介します。

産休・育休を経て復帰

転職をせず、もともとの職場で産休・育休を取得したAさんは、時短勤務で職場復帰しました。
以前のように第一線で働くことができなくなったこと、周りのスタッフの負担が増えてしまったのではないかと悩みながらの勤務でしたが、現在は仕事と家庭を両立させて頑張っています。

ここで重要なのは、自分にとって一番大切なものは何なのか? を見直し、それをベースに考えること。
仕事が一番であればフルタイムで働けるよう環境を整える必要がありますが、Aさんの場合は子育てや家庭を重視しました。

子育てを終え、ブランクを乗り越えての復帰

出産を機に仕事から離れたBさんは、子育てがひと段落ついたところで10年というブランクを乗り越えて仕事に復帰しました。
復帰前には10年というブランクを埋めることができるのかとても不安を感じていたそうです。
しかし、ブランクのある看護師を受け入れてくれる制度のある病院を探し、しっかりと研修を受けることができて復職が叶ったそうです。

やりがいとともに緊張感のある看護の仕事だからこそ、ブランクは大きな不安要素になりかねません。
しかし、それを克服するだけのやる気があれば、周囲も手助けをしてくれるはずです。

病棟勤務から訪問看護師へ転職

病棟勤務だったCさんは、もっと患者様と密に向き合いたいと、訪問看護の道へ転職をしました。
病棟と訪問看護では仕事の仕方が異なったり、管理者の考えによって待遇や方針がガラッと変わったりする訪問看護の世界に戸惑いつつも、やりがいを感じながら仕事ができているそうです。

「今までこうだったから」「こういう時はこうすべき」という考えではなく、患者様と向き合い柔軟に対応できるスキルが成功のもとではないでしょうか。

 

セカンドキャリアの看護師の雇用状況

結婚や出産でブランクができてしまった看護師は、潜在看護師として資格を有しつつも看護の仕事から離れてしまっているケースが少なくありません。
毎年、多くの看護学生が看護師としてのキャリアをスタートさせていますが、看護師不足は解消されず、厚生労働省も看護師のセカンドキャリアに注目しています。
一度離職した看護師たちに改めて看護の現場で働いてもらえるよう、労働環境の改善や、ブランクがあっても復帰しやすい環境も整いつつあり、最新の医療技術や知識は、研修などで補うことが可能になっています。

そのような取り組みもあり、40代の看護師の職場復帰率は上がってきています。

 

まとめ

2025年には団塊の世代が定年を迎え、看護の世界もさらに人手不足が進むと考えられます。
それにともない注目されているセカンドキャリアは、看護師としての経験だけでなく、一定の経験を経て深みを増した人としてのスキルにも注目が集まっています。
「ブランクが心配」「職場を変えてやっていけるか不安」という声はもっともですが、経験は何物にも代えられません。
経験を活かして新たな職業人生をスタートさせる手助けとなってくれるだろうセカンドキャリアについてぜひ考えてみてください。

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この記事を監修した人

井川 玲子

井川 玲子 (京都大原記念病院グループ 看護介護部長)
※現在は同グループ ケアハウスやまびこ 施設長
看護師。足掛け41年にわたり京都第一赤十字病院および看護専門学校で専任教師・副学校長として勤務。長浜赤十字病院 看護部長を経て、平成21年4月1日より京都大原記念病院の看護介護看護部長として着任。現在にいたる。

※写真は京都”大原”の「大原女」に扮したときのもの

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