2017/02/13
老人ホームで働く生活相談員の仕事内容とは?
介護職
こんにちは。京都大原記念病院です。
老人ホームでの仕事のなかに、生活相談員というものがあります。生活相談員は、介護の世界では欠かせない存在です。
今回は、老人ホームにおける生活相談員の仕事内容についてのお話です。
生活相談員とは何か?
生活相談員は、デイサービスや有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、病院・クリニックなど、さまざまな介護の現場で活躍しています。
いわば、「施設利用者様の困りごとに対応する相談窓口」です。
生活相談員としての仕事は介護に対する幅広い知識が求められるうえ、ライフスタイルや困っていることが違う、ひとりひとりの立場に立って考えることが求められます。
「生活相談員」はあくまでも職種の名称なので特別な資格を表すものではありません。
しかし、介護施設や・事業所では、生活相談員を営業時間内に1人以上配置することとなっており、そのことからも生活相談員の重要さがわかります。
老人ホームで働く相談員の役割とは何か?
生活相談員の役割は、“利用者と施設の橋渡し的存在”になることです。
具体的な役割
▼ ケアマネジャーとの連携・介護計画の作成
▼ 入所希望者の相談受付
▼ 施設の入所・退所手続き
▼ ケアプラン作成への助言
▼ 入所者の相談
▼ 入所者家族との相談
▼ レクリエーション企画
▼ 地域との連携・調整
▼ 地域のボランティア活動参加
▼ 苦情の受付
▼ 施設内のスタッフとの連携・調整
などがあります。
ただ、「生活相談員の仕事」は法律などできちんと決められている内容はないので、施設によって業務内容が異なります。
老人ホームで働く生活相談員の仕事内容とは?
老人ホームで働く生活相談員の一日をのぞいてみましょう。
8:00 出勤
8:30 朝礼
・施設内の情報共有
・夜勤スタッフからの連絡事項確認
9:00 業務開始
・行政機関、関係施設との打ち合わせ
・入所希望者に対する施設見学案内
12:00 昼食
13:00 相談業務
・ケアプランの見直し
・入所者、入所者家族の相談対応
15:00 事務処理
・面談記録を報告書として作成
18:00 退勤
施設によっては、介護士が生活相談員を兼任し、介護をこなしながら相談業務を行っている場合もあります。
老人ホームで相談員として働くために必要な資格とは
老人ホームで生活相談員として働くためには、幅広い介護や福祉の知識が問われるため、以下の資格を持つことが求められます。(施設によって求められる資格が異なります)
▼ 社会福祉士
社会福祉業務にかかわる国家資格。
介護だけでなく、障害者福祉、児童福祉、生活保護など、社会福祉全般にわたって日常生活に困難を抱えている人に対して、相談・支援を行います。また、問題の解決のために、それぞれに適切な支援計画を作成したり、関連施設を紹介したりします。
生活相談員・ソーシャルワーカー・ケースワーカーなどの職業につき、民間企業、行政機関問わず活躍の場があります。
介護の現場では要介護者・介護施設の増加にともない、社会福祉士の資格を取得する人も年々増加しています。
▼ 精神保健福祉士
精神医学ソーシャルワーカー(Psychiatric Social Worker)、略してPSWとも呼ばれる国家資格。精神障害を抱える人やその家族に対して、就職支援や施設の紹介を行うなどの相談・支援業務を行います。医療機関と連携して活動したり、行政機関での手続きをしたりします。
対象を精神障害者に限定しているため、社会福祉士に比べて活動の幅はせまくなります。
主な活動は精神障害者の入院に関する支援業務です。患者の人権がきちんと守られているかに注意するのが精神保健福祉士のつとめです。
※社会福祉士と精神保健福祉士は、大学や養成施設で所定の課程を取得したり、実務経験に規定の年数以上ついたりするなどして受験資格を満たした人だけに国家試験受験資格が与えられます。
▼ 社会福祉主事任用資格
社会福祉業務にかかわる任用資格。地方自治体の福祉事務所の職員(ケースワーカー)として任用される要件を満たすもので、公務員を想定している資格ですが、民間の施設でも資格者を求めるところがあります。
厚生労働省によると「社会福祉主事任用資格には、国や自治体が発行する『資格証明書』はありません。」また「社会福祉主事の任用条件を満たしているかについては、履修済科目が記載された大学の成績証明書及び卒業証明書により証明します。」としています。
自治体によっては、上記の資格がなくても条件付きで認められる資格・経験があります。
▼ 介護支援専門員(ケアマネジャー)
▼ 介護福祉士(経験年数に指定がある場合あり)
▼ 特養等で、ケアプラン作成に関わる実務経験が1年以上ある者
▼ 老人福祉施設の施設長を経験した者
▼ その他(介護職経験が一定期間ある者など)
自治体によって異なりますので、確認が必要です。
「老人ホームで働く生活相談員の仕事内容とは? 」のまとめ
老人ホームでの生活相談員は、資格ではなく職種の名称ではありますが、利用者様にとって悩みや不安を打ち明けるための窓口になる大切な存在です。
生活相談員として任される業務内容は各施設によって異なりますが、いずれも、「利用者様が今どんな気持ちでいるのか、どんな状況なのか」、繊細な部分を利用者の立場になってしっかり受け止める役割を担っています。
利用者様が安心して老人ホームで過ごせるためにも、生活相談員の存在は重要だと言えます。
・生活相談員はさまざまな福祉の場で活躍する支援員
・業務は多岐にわたり、幅広い知識が求められる
・利用者や利用者家族と、施設の間を取り持つ重要な役割
・相手の立場に立って考えることが大切
・必要な資格はあるが、自治体によっては実務経験などがあれば認められることがある
この記事を監修した人
- 磯部 直文 (人事部 介護職 採用担当責任者)
- 京都大原記念病院グループに介護職として入職。介護老人保健施設( 入所/通所リハビリ )で現場職員として約15年間従事。グループの介護職 教育担当者を務めた後、事務職へ転身。人事部 介護職採用担当責任者として、日々、学生対応にあたる。京都市認知症介護指導者。